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苫野 一徳氏 × 高濱 正伸

【Education X ~vol.4~】「これからの時代を生き抜く子どもの『哲学』の力を育むためにできること」

こちらの動画は、開始より05分00秒間どなたでもご視聴いただけます。

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1月7日(木)教育哲学者の苫野 一徳氏をお迎えして、高濱 正伸との対談【Education X ~vol.4~】「これからの時代を生き抜く子どもの『哲学』の力を育むためにできること」をZoomにて配信いたしました。
 冒頭30分は苫野 一徳氏による講演。はじめに、「哲学」を「本質洞察に基づく原理の提示」と定義し、「不安の本質は?」「幸せの本質は?」「正義の本質は?」等の問いを考える方法の示すものとしました。例えば、「不幸の本質」について、ルソーは「欲望と能力のギャップである」としていますが、これを知っていると不幸から逃れる方法がわかると説明しました。その方法とは①ギャップを埋めるために能力を上げる。②ギャップを埋めるために欲望を下げる。ですが、この2つは難しい場合には、第3の方法として「欲望を変える」という答えが導かれ、これが不幸な状態の人の救いになるとしました。「〇〇でなければ、許せない」というこだわりを捨てることが不幸からの脱出に効くということを、自身の経験を含めて語りました。
 高濱はそれを受けて「かなわない欲望への固着こそが不幸」であり、教育熱心な親が自身の不安から「〇〇であらねば」とこだわることに警鐘を鳴らし、「本当のところ、わが子にどうなってほしいのか?」の本質を考えるために言語化すること、すなわちひとり哲学対話を勧めました。
また苫野氏は、1970年代よりジャン・ピアジェによる「子どもは抽象的概念を理解できない」という考えが広く浸透し、子どもは哲学ができないものとされてきた経緯を説明しました。しかし、自分で考えて答えにたどり着く「哲学対話」は小学生にも可能であり、実際に小学5年生のお嬢さんと行っている哲学対話の様子を語り、子どもにこそ意義が大きいものであると強調しました。
さらに、親子でも試したい人が増えている哲学対話に必要なの初歩の初歩とされる「一般化のワナ」「問い方のマジック」「帰謬法」「欲望相関性の原理」など、平易な言葉でわかりやすく説明していただきました。
「コロナ禍で時間が多くある時こそ、子どもはその時間をどのように使うのか自己決定するチャンスで、自分時間を生きる経験をさせてあげてほしい」という苫野氏の考えに高濱は「新しいことを知ることや学ぶことの楽しさは、自分でゲーム設定してこそ」と共感して締めくくりました。


苫野 一徳氏(とまの いっとく)
哲学者/教育学者/熊本大学教育学部准教授
早稲田大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。
著書に『どのような教育が「よい」教育か』(講談社)『 勉強するのは何のため?』(日本評論社)『教育の力』( 講談社現代新書)『「自由」はいかに可能か』(NHK出版) 『子どもの頃から哲学者』(大和書房)『 はじめての哲学的思考』(筑摩書房)『「学校」をつくり直す』 (河出新書)『ほんとうの道徳』(トランスビュー)『愛』( 講談社現代新書)などがある。

高濱 正伸(たかはま まさのぶ)
1959年熊本県人吉市生まれ。
県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。
東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。
花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。
算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。
公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。


高濱 正伸
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